痔ろうの手術について
現時点では、残念ながら、手術以外に痔ろうを治す方法がないため、当院では痔ろうと診断された方には、みなさまに手術をお勧めしています。
「どうしても決心がつかない」と様子をみる方がまれにいらっしゃいますが、しばらくしてまた腫れや痛みが起こり、ほとんどの方が結局手術を受けられて、手術後に「思ったより楽で、もっと早くうければよかった」とおっしゃいます。
痔ろうは複雑化すると治療がより大変になりますし、長年放置した結果ごく稀ですが、がん化(痔ろうがん)して、肛門を全てとるしかなくなり、余儀なく人工肛門を装着するといったケースもあります。早めに受診することをお勧めいたします。
切開開放術
問題となる肛門括約筋を切開して、瘻管(トンネル)を露出します。傷口は約3ヶ月で治り、根治性も高く、再発率も低いのですが、肛門括約筋を切開するため、肛門の形が変わってしまったり、おならや便が漏れる(便失禁)可能性が高くなります。
切開する範囲が少なければ問題が起こりにくいため、この手術は痔瘻が浅く、単純な瘻管(トンネル)の場合に行われます。再発率は約1~2%と低く、日帰り手術が可能です。
肛門括約筋温存術
痔瘻のトンネル(瘻管)を切開せずにくり抜く方法であり、肛門括約筋を切開しませんので、肛門機能(手術後の便失禁)には問題がありません。
ただし、手術後に再度、下痢便などの菌が傷口に入ってしまうと再発する可能性があり、再発率は約15%とされているため高めだと言えます。傷口が治癒するまでは、下痢にならないようにかなり注意して生活する必要があります。
また、手術の難易度が高いため、経験が豊富な医師の治療が必要です。複雑な痔瘻に行われる手術ですので、入院手術をお勧めすることがあります。
手術費用
痔ろうの手術は健康保険が適用されます。
症状によって手術内容が変わるため、費用には多少の幅がありますので目安をご紹介します。
3割負担の場合の費用です。
痔ろうの状態 | 費用 |
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単純痔ろう | 約20,000円 |
複雑痔ろう | 約30,000円 |